INDEX MENU blog EMAIL Webclap
blog text FF7 FFXI Nitro+Chiral Oldies pict books about Top 1
EP:2.5
裏・境界線

 埃まみれなのは床も、寝台の上もさして変わりないかもしれない。だが緊張に身体を固くする青年を安堵させるには、少なからず役立っているようだった。
 骨ばった肩や手を這わす胸は筋肉質で、源泉の手にはなじみのない感触である。紛れもない男の身体であるのに、初めて異性を抱きしめた時のようなときめきもあった。
 背もそこそこ高く、小さな男ではないのに、アキラの身体は背後から抱く源泉の腕にほどよく収まっていた。シャツの裾を持ち上げながら滑らかな胸や、筋張った腹、とがりのない乳首に丁寧に触れれば、アキラは浅く喘いで息をつく。きちんと感じているらしい。
「可愛いな」
 臍の窪みを楽しんでから、源泉は時間をかけずにジーンズの前盾を開き、思いのほか柔らかい茂みをかきわけ陰茎を掴んだ。
 腕の中の身体が身じろぐ。肩越しに覗き込んだ顔は背けられていたが、恥辱と他人が与える愛撫の感触に、アキラの頬はほの赤く上気している。
 ジーンズと下着の隙間から引き出した時に、それは既に身を起こしかけ、軽く、数度しごいただけで青年は顕著に反応した。もし本気で源泉を嫌悪していたら、こうはならないことを源泉も知っている。男の性は意外とデリケートなのだ。
 つい口元に笑みが浮かんだ。
 もしかしたら単なる好奇心で受け入れたのかとも思った。だが、だとしたら、ここまで性急には高ぶらないだろう。性器の反応だけでなく、それは青年が源泉に預ける背中から、そして源泉の腕に絡めるようにまといつく腕からも伝わった。
 自ら暴かれようとする素直さが、なんとも愛らしい。
 身体を預けながら、唯一反抗するように背ける顔が小憎らしい。
 高める意志を持って、掴んだものをリズミカルに愛撫すれば手の中の陰茎は徐々に固く、熱く尖り、血の色を浮き上がらせる。手触りの良さは赤子の頬のようで、綺麗に剥けた先頭が僅かに濡れ始めた。
 アキラは後頭部を源泉の肩口に押しつけ、上げた顎を震わせた。浅い喘ぎを戦慄く唇から絶え間なく漏らし、力の入らない手でアキラを捕らえる男の腕を押しとどめようと、もしくは促そうと彷徨わせた。まだ唯一緊張する肩に顎をのせ、晒された首筋と耳朶を舌で辿れば、声は高くなり、頭と腰が逃げようと蠢いた。
 抗議するようなうめきを無視し、手の動きを早め、先端に滲むものを親指で擦りつけると、恐らく他人の手を初めて受け入れた青年には過ぎた快感だったのだろう、大きく数度震えたものが根本から顕著に膨らみ、限界が近いことを伝える。断続的な喘ぎが掠れ、腕の中の身体が緊張に突っ張った。
 温かいものが掌に吐き出される。
 痙攣する身体を優しく撫で下ろしながら、数度に渡って溢れるものから独特の匂いが漂う。アキラは荒く肩で息をつき、細めた目で源泉の掌を見下ろし、何故かすぐにそれから目を反らした。
 脱力して源泉にもたれかかる身体を横たえ、徐々に膝までずり落ちていたジーンズと下着を剥ぎ取り、濡れた手を更に奥深くへ伸ばす。ぐったりと力を抜き、まるで心構えのなかった門は、精液のぬめりを借りてあまりにすんなりと指を受け入れた。
 アキラが抗議と怯えの声を上げたときには、指の半ばまで侵入し、そのまま潤いを中へと注ぎ込ませた。摩擦感はあるが、痛がる余地も与えられず、濡れた音を立てながら前後に動く指の感触に、アキラはあられもなく喘ぎ、うろたえたような声で源泉を呼んだ。腹や尻をなだめながら指を増やし、押し広げるように動かす。
 先程からなんの準備も要さないほど、むしろそのままでは苦痛なほど源泉は高ぶっていた。
 アキラの中に片手の指を差し入れたまま、片手で着衣を脱ぎ捨て、足首を捕らえて指を抜いた場所に源泉自身を押しつけた。
 アキラが息を飲み、先程まで指を飲み込んでいた場所が閉じる。手に残ったぬめりを自身の先端に擦りつけ、尻の左右を掴んでこじ開けるように、源泉は強引に腰を進めた。

 アキラの腰を足に乗せ、両膝の裏を押してあらわにした狭間に、源泉のものは根本まで飲み込まれていた。目一杯に開かれた場所は、寸分の隙間もなく源泉を受け入れ、僅かに前後させるだけで肉を引きずるような摩擦感があった。
 男を抱くことは初めてで、これまで女にそこを求められたこともない。源泉にとっても初体験の場所の交わりは、通常のセックスとは異なる感覚だった。
 裂かれる痛みにか、腰が引けそうになるアキラの尻や腹をなだめ、自分の唾液でぬらした指でくわえ込む縁を潤す。そうして十分に濡らし、アキラの痛みが治まるのを見計らって、源泉はゆっくり小刻みに動き出した。
 挿入した時の苦痛で一瞬青ざめたアキラは、今度はただ苦しそうな吐息だけで、痛みを訴えることはない。力を抜こうと息を継ぐのに必死といった風になりながらも、つい早く動きそうになる源泉の腰をの動きをじっと見つめていた。
 時折内部が引きつり、その度に細い眉根が寄せられる。動きを止め、力が抜けるのを見計らう。根気よくアキラが源泉の体積に慣れるのをそうやって待ち、次第に動きを大きくしていった。
 結合する部分を覗き込むと、狭い縁を捲り上げながら出入りする様が見えた。
「いや…だ」
 投げ出していたアキラの手がそこを隠そうとする。見られるのが嫌なのだろうか。
 手を掴み、うなだれていた前を彼の手に握らせ、動きに合わせて扱き上げる。ぴくりと小さく痙攣して力を取り戻すと同時に、穿つ入口が閉まるのが分かった。食いちぎられるような痛みが走った。
「いてーな」
 苦笑しながら動きを止め、アキラの陰茎への愛撫に集中するとまた少し力が抜かれる。腰を引いて浅く先端だけを埋めて、入口だけを何度か行き来すれば、アキラは細い顎を上げて後頭部をシーツに擦りつける。
 強引に動いて得られる快感もあるだろうが、今はそうやって、青年の身体を開拓していく楽しさがあった。
 大人びた顔が子供の様に見えたり、男を誘う熟女のように淫靡さを増す瞬間もある。誰も、本人すらも知らないアキラの顔がそこにある。
 アキラのものがすっかり立ち上がったのをきっかけに、源泉は徐々に侵入を深くしていった。柔らかくほぐされ、先程の引き攣りはない。内臓をえぐられる苦しさに慣れたのか、アキラも片頬をシーツに埋めて断続的に喘ぎを漏らしている。
 内部を探る内に顕著に反応を示す場所を見つけ、少々強引に責め立てれば、上げた顎を震わせて、高く声を上げた。
 自分の上げた声に驚き、アキラは慌てて両手で口を塞いだ。見開いた目が不思議そうに源泉を見て、動揺に瞳を揺るがせる。源泉は思わず口元を上げ、彼の表情に目を据えたままもう一度大きく動いた。
「な、んで」
「気持ち、いいんだろ。アキラ」
 既に荒さを隠せなくなった呼吸の合間に、源泉は囁きかけ、更に動きを持続する。源泉より荒い吐息に甘く掠れる声を、アキラは唇を噛みしめて堪えた。
「唇、切れちまうぞ」
 腕を伸ばして歯を立てる唇を撫で、そのままアキラの身体を抱きかかえ、源泉の腰を跨がせるようにして起きあがった。
 アキラの体重で更に結合が深まる。悲鳴を上げて源泉を両手で押しのけるも、掴んだ腰を押さえ込むと、新たな快感からアキラも逃れる術を無くした。
 膝を寝台について少しでも離れようと腰を上げたところへ、少々乱暴な力で突き上げ、すぐに引き抜く。源泉の腹の上で、張りつめたアキラの陰茎が痙攣を繰り返し、先端は濡れ光って体積を増していった。
「そそるな」
 汗のしずくが首筋から胸へ、胸から腹へと流れ落ちる。
 固くなった乳首が上気して赤くなり、幼い少女のように見える。
 ほつれた前髪の隙間から源泉を睨み付けるが、むしろ愛らしい抵抗だった。
「そんな潤んだ目でにらんでも可愛いだけだ」
 再び唇をかんで更に睨み付けるアキラは、立て続けに与えられる刺激に遂に目を閉じ、薄く唇を開ける。普段、意志の強さを表している引き結ばれた唇や攣り上がった目尻とは、その表情は対称的だった。
 細めた目は潤んで、自然と落ちる涙が汗に紛れる。苦悶するように寄った眉間が震える。閉じていることが困難なのだろう唇の端から、唾液が流れ落ちる。
 つぶさに観察を続けていた源泉は、ひとつひとつを目に焼き付けながら、狭い門に鍛え上げられる自身が限界を近いことがわかった。
 思うさまに啼かせ、喘がせている気になっていたが、捕らわれているのは源泉の方なのかもしれない。
 行き場なく彷徨わせていたアキラの腕を、首の後ろに回させて、動かないように固定してから、源泉は今度は労りも忘れ、容赦なく動いた。
 粘着質な音が二人を煽り、源泉もつい堪えきれずに喘ぐと、アキラは消え入るような悲鳴を上げて達した。源泉をくわえ込む場所もきつく閉まる。
 青年は源泉の下腹に温かいものを吐き出し、快感の余韻に何度か身体と陰茎を痙攣させた。源泉も限界まで侵入したその奥に解き放つ。
 身体を逆流してくる感覚にか、アキラは背筋を震わせて源泉の上に倒れ込んだ。
 荒く乱れた息を整えながら、ぐったりしたアキラの髪と背を撫でながら、その顔を覗き込む。
「大丈夫か?」
 けなげに頷く頭をもう一度撫で、喉の奥にわき上がった少しの後悔と共に吐き出す。
「すまん…やりすぎた」
 汗の滲む背を撫で下ろして、何気なく指先が尻の間に触れると、アキラはびくりと大きく体を揺らした。
「とりあえず、抜かないと」
 力を失い、欲望を果たした自身はまだアキラの中に収まったままだ。
 源泉の腹に手をついて、アキラが腰を上げる。まるで抜け出したくないと言うような摩擦を残して引き抜かれる。その感触にアキラはまた小さく喘いだ。
 上げた尻の間から、萎えたアキラの陰茎の先端から、残滓が源泉の腹の上に落ちてくる。
「やらしいな」
 アキラは上目遣いに睨んでから顔をそむけ、だが虚勢を張るのも限界だったようで、仰向けに寝た源泉の隣に倒れこんだ。源泉は片腕でその身体を抱き寄せ、アキラの冷えた肩から背を何度も撫で下ろした。
 少なからず身も心も傷ついているだろうに、逃げ出そうとしないアキラが酷く愛おしかった。促すと、疲れた様子で目を閉じる、その憔悴の影の見える顔が源泉の胸を打った。
 多分二度と、この青年を手離す気にはならないだろうと、源泉は思う。
 彼を連れてこの町を出ようと心に決め、同時に失った二人の愛する者の顔を思い出し、源泉は声に出さない言葉で彼らに詫びた。
 見上げた明かり取りの細い窓から、薄い朝日が差し込んできた。
2005.03.11(了)
アイコ<http://www.natriumlamp.com/B1F/>

【N+C TOP】
※ここでご紹介するものはゲーム本編とは全く関係のない、個人の趣味と空想に基づくストーリーです。ニトロプラスの権利を侵害する目的のものではありません。
NatriumlampB1F since 2003◆All rights reserved.